東京エスメラルダ

オトナによるオトナだましぃな日記 @田舎

手取り14万。30年間賃金がほぼ横ばいってヤバいよね。

私が新卒で就職したのは中小企業の地方採用の事務職で手取りが14万くらいでした。バブル崩壊後の就職難だったし一流企業でもないし仕方なかった。がんばって年収を上げていかなきゃなと思っていました。

 

昨今SNSの若い方のつぶやきで、手取り14万でどうやって将来設計すればいいのかとか、年収300万で結婚して子供育てるとか現実的じゃないとか、働いても給料が上がらず将来を悲観、というかもはや絶望している投稿をすごくよく見かけるので気になってたんですが、タイトルのような統計が最近発表されて結構ショックを受けました。

 

なんでも先進国の中で30年前と比べて、アメリカは約2倍賃金が上がってるのに対して日本は0.96倍?(詳細・正しい名称とか数値はググってね)で全然上がってないんですよね。統計って何を基準にするかとか、その代わり日本は失業率が低いとか物価が安いとか、学者さん的にはいろんな要素を考えて語らないといけないことでしょーがここでは主観の範囲内で話を進めますね。

 

私が14万円もらってたころより今のほうが物価が安いと思うんですよ。外食チェーンのセットとかお弁当とかコンビニ食とか一食数百円で済ませられるところも多様ですし、服なんかもしまむらだGUだSHEINだと2900円前後の予算で語れる市場が活況ですよね(昔ってお金なくても服はデパートのセールで買ってたよなぁ、2900円の服などは節約家の専業主婦とか年金生活のおじさんとかあるいは貧乏学生のためのもので、定職についてる若い人向けではなかった気がする)。食料品も最近の原料不足による急激な高騰以前はそんなに値上げされてる感じもなく、むしろメーカー品よりPB商品が増えたり100円ショップが充実して手軽な値段でなんでも買えるようになってるなと思います。

 

でもね。

給料上がってなくてもデフレで物価が安いなら食べていけるじゃんってことではなくて、働いても賃金上がらないと夢を抱けないと思うんですよ。

 

手取り14万でも私が若い頃はまだ夢だけは描くことができていた時代だったなと思うんですよ。親世代は賃上げも金利も良かったし教育は受けさせてもらえました。年に1回は温泉旅行くらい連れて行ってもらえましたし。少し上のバブル世代の先輩たちはハイブランドを身にまとい食事をご馳走してくれて昔の楽しい話をいっぱい聞かせてくれたし。円も今ほど弱くなかったから少ないボーナスを貯めてグアム旅行くらいは行けたんですよね。不況でしたけど超エリート以外はみんなサービス残業の安月給で今ほどの圧倒的な収入格差は感じなかったし、汗水流して働いた分楽しみや余裕もあって理想の人生に少しずつでも向かっていってる感じでした。希望って何よりの生きる原動力じゃないですか、それがあったんですよね。

 

今の手取り14万の人って、お金がないからデート無理結婚無理、共稼ぎで負担が増えるより1人で小さく生きたほうがマシ、十分な教育資金が準備できないからそんな環境で子供産んだら子供が不幸になるよね、車や家のローンなんか組めないとか、経済的な理由で人生の大事な選択肢が狭まってる書き込みすごくよく見かけるんです。恋愛も結婚も出産も職業選択も学びも自由であるはずが、本当はしたいのにあきらめてる人がすごく多い。ちゃんと家計をやりくりして自炊してお弁当作って切り詰めた生活を直視して、そして未来を描けなくなっている感じとっても厳しいなと伝わってきます。

 

お金ないから○○できない、のレベルが昔より深刻になっていて、それが進学とか就職とか家賃とか光熱費とか食費とか、生きていくのに必要不可欠な領域まで達してきてると肌感覚では思います。これ、個人の努力不足じゃないよねってすごく思うんですよ。薄っぺらい処理なのであまり言いたくないのですが、私も長く生きてきて今回のような統計を目の当たりにするとさすがに「政治がどこかで間違ってたよな」って言いたくなりますわ。

 

良い時もあれば悪い時もあるし、心の中では少しでも右肩上がりだと思いたいじゃないですか。でもやっぱり20代の頃から貯めてた貯金の利息全然ついてないし、円で持ってても減りますよって銀行の人にまで言われるし、相変わらず近所のパートは時給1000円以下だし、東京では一握りの成功者がドラマみたいなピッカピカの生活をしているけど、クーポン使ってマックで晩御飯食べて家で独りでスト缶飲みながら動画見てるその他大勢の人が圧倒的に今日本に多いんだと思います。

 

夢のためなら貧しくても生きていけるんだろうけど、夢すら見れない貧しさって人を蝕むよね。アベノミクスとか日経平均2万円越えとかなんか自分の若い頃のバブル崩壊直後よりまだマシなのかな?って錯覚してたけど、ちがうと思う。何十年も変わってないじゃん、むしろ今の若い子のほうが夢も持てないくらいに現実が差し迫ってるじゃん、強烈に強烈に日本って後退してるじゃんと実感した悲しい記事でした。

 

ーーー余談

外国は実際のところどうなの?って話。

うちの夫って欧米系外国人なんですけど、某国の夫のお友達は40代後半くらいで未経験の事務系職に転職して、1〜2年で時給5000円になったって言ってました。驚いたよねー。はっきりってその人学歴高くないし、特殊な資格や能力が必要な高度な仕事や高報酬制の営業でもなんでもないんだけど、ちょっと経験つんだら5000円にUPってすごくない?完全リモートワークだし出社するなら食事も無料らしい。

その代わり1年ごとの契約社員で会社都合で突然サクッとクビになるけどね。会社都合で雇ったりクビになったり雇用が流動的だからこそ非正規は時給が高いんだそうです。日本のように非正規は正社員になれないレベルの低いやつだから低賃金で当たり前って考えとは全然違うよね。サクッとクビになるのに時給も低いんだからやってられないよね。

でも一方では、その国では急激なインフレで賃金の上昇より物価が上がっていて失業者や家賃を払えなくなったホームレスも激増してるんだよね。犯罪率が上がったり、税収が下がったことによって行政や警察なども機能不全になっている地域も出てきており、国内で少しでも住み良い街への転居が当たり前になっているそうです。

 

うんうん、それに比べたら日本はまだマシ・・・って言える?