東京エスメラルダ

オトナによるオトナだましぃな日記 @田舎

りゅうぺこ。LGBTQについての友達の話。

りゅうぺこ離婚で思い出した友達カップルの話です。

長いこと同棲して婚約(事実婚?)状態の友達カップルが突然別れました。破局の理由は彼氏がGだったことが発覚したためでした。

ささいなケンカの流れで、彼の昔の浮気話の蒸し返しになりました。そのときの彼氏の浮気相手が女性ではなく男性だったことを彼女は初めて聞かされました。

驚きと怒りで彼を激しく責めたところ、本当は肉体的には女性より男性の方が好きだったんだと彼は開き直り、彼女はその場で別れを決めたそうです。

 

りゅうぺこ離婚当初、世論では夫の心変わりだとか、妻がかわいそうだとか、子供まで作ってから今更無責任だとか、一定の方向で炎上していました。説明の文言が不明瞭だと。

私は彼ら自身のコメントを読んだ限り、個人的な解釈ですけど、夫は将来的に男性性を替えたいと思うに至ったのではないかと。日本ではまだ同性婚が認められていないので、性を変えるなら離婚するしかないという結論になるのかなと・・・(個人的な推測です)。

ただ、どちらにせよご夫婦で考えてお決めになったことだし、外野がご本人たちに意見するような行為は間違ってると思うんですよね。ましてや他の人に気持ちが移ったんだろとか、金と子孫を残すために妻を利用したんじゃないのかとか、他人が良い悪いでジャッジするようなことじゃないと思います。

受け入れた妻は人として度量が深いと思います。でも夫だってそこに至るまでは相当長い間苦しんだんじゃないかなと思うんですよ。そして夫婦で信頼関係があるからこそ妻に相談することができたんだろうし、話し合いもできて、新しい家族関係として一緒にいるという選択ができたのだと思います。

 

こんなふうに私が思ったのは、上記の破局した友人カップルの話を本人たちから詳細に聞いていていろいろ考えさせられた機会があったからです。

当初、別れた彼女の方から彼氏のことを聞かされて驚きました。

彼女は彼が男性とも関係を持っていたとは何年も知らなかったわけですし、経験した人にしかわからないひどいショックを受けていました。おまけにケンカ中の売り言葉に買い言葉で、「おまえより男とやってる方が良い」とまで言われたそうですから、これはさすがに人としてひどい言葉でパートナーとしては深く傷つきますよね。

特に彼女は長年嘘をつかれていたことに腹を立てていました。もっと早く知っていれば早く別れたのにと。とにかく女性としての尊厳を深く傷つけられたのですから当然怒りが増し、話し合う余裕もなく、お互いの親も巻き込んで婚約解消だ慰謝料払えと罵り合うような最悪の終わり方でした。

 

私はこの時彼女側の友達でしたけど、話を聞く中で彼氏も相当苦しかっただろうなぁと少し同情してしまったんですよね。

経緯を聞くうちに出てきたワードを拾い集めると、

彼は幼い時は男の子に憧れたり女の子を好きになったりBっぽかったけれど本人もはっきりとした自覚がなかった。成長の過程で女の子と積極的に交流していくうちに、やっぱり自分は女性が好きだと思うようになったようでした。思春期以降恋人はずっと女性でした。大人になってから付き合いだした彼女とも安定した関係で、このままゆくゆくは結婚して一生を共にしていきたいと真剣にお付き合いをしていました。

そんな中、たまたま知り合ったGの男性と惹かれ合うものがあり、それがきっかけで自分の中で長年蓋をして忘れ去っていたものにあらめて気づいたそうです。男性と関係を持って本能的にコレだ!と認めざるを得なかったと。

もちろん彼女のことは伴侶として愛している、でも肉体的には男性との結びつきの方がしっくりくる。どちらも嘘ではない、そういったものが共存しているのが本当の自分なのだ。気づいて認めてしまった以上嘘をついている日常が苦しくつらかった、彼女を裏切らないでいようとすると自分本来の性的活動を一生やめなければいけない、かといって彼女を裏切るのも辛い、どちらにしてもつらかったのだと。

ケンカ中にひどい言葉を言ってしまったけれど、僕だってずっと悩んでいたんだ苦しかったんだと泣きながら言っていたと聞いた時、私は胸が痛くなりました。当事者の葛藤を初めてリアルな話として聞いて、想像を超える辛さがあったのだろうと思いました。

少なくともこの彼の場合は、最初から騙してやろうとか女性の恋人というアイテムとして利用しようとかいうことではないし、本当に彼女のことを愛したから結婚するつもりで同棲していましたし、おそらくG (あるいはB)であることは墓まで持っていくつもりで、彼女との生活を守りたかったのではないかなと思います。

当事者自身も最初から自己認識できているとは限らないし、それが途中で変化することもある。子供の頃まで遡って、初恋や思春期や性的に活発な青年期でどんどん変化して、社会の中で感じる圧などで自分の本来の姿にフタをして、それに慣れて昔の感覚を忘れたりして一生を終えることだってあるのだと思います。私はこの彼の話から、そのようなことを学びました。

全てではないでしょうけど、そういう曖昧な状態で長く模索しているのだと。

 

ひどいひどいと泣く彼女の背をさすりながら私は、一生のパートナーとして愛し合っているのは間違いないのだから、肉体関係の問題をもっとよく話し合えば、もしかしたら彼女たちはケンカ別れせずどこかで折り合えた可能性もあったんじゃないかなと思っていました。

彼女は子供は持たないライフスタイルを望んでおり、2人とももう中年になって長い同棲生活ですでにセックスレスになっており、それでも安定したソウルメイトや人生のパートナーという関係にまで進んでいた状態でしたから、この件も落ち着いて話し合うことができていたら別の解決法を見出せたり、少なくとも罵倒しあってお互い傷つけあって別れることは避けられかも。

もしかしたら、りゅうぺこのような新しい家族の形で関係を続けることもできたかもしれないなと思うのでありました。