東京エスメラルダ

オトナによるオトナだましぃな日記 @田舎

【男性向け】妻が熟年離婚を考えるに至るまで

そろそろですね、女友達の中でも熟年離婚を考え出してる人が出てきました。

下の子が高校卒業したらとか、一人息子が就職したらとか、育児の区切りがつく数年後に夫に離婚を切り出す予定だと。

この人たちがどういう経緯で歳を取ってから離婚しようと思い至ったかを書いてみたいと思います。だからあなたたち男が悪いという話ではなく、女が妻という役割をどう捉えているのかとか感じ方とか人生の疲れについて書きますね。

以下、アラフォー以上の友達や知人の話からの個人的な意見です。

 

何十年も夫婦をやってきて、子供を育て上げた先に熟年離婚を決意する人って、原因は暴力とか浮気とかギャンブルとか借金ではないことがほとんどです。そのような家庭を崩壊させるような理由だったら、子供のため若いうちに早めに見限って別れるものだから。

そうではなくて、熟年離婚を選ぶ人は疲労骨折に近いと思います。決定的な理由がなくても、ちょっとした日々の疲れが長年かけて溜まって行ってある日ポッキリ折れる。夫のこういう態度嫌だな、辛いなという思いが何十年も蓄積されている。

ちょっとした疲れとは、たいていコミュニケーションの問題です。モラハラという言葉もよく聞きます。

えっ⁈モラハラってなんのこと?

妻に手をあげたことは一度もないし、家事や育児はほぼ任せてるけどそのぶん給料はちゃんと稼いでるし、子供にも教育を受けさせていい子に育ってると思うし、たまにケンカはするけどうちには深刻な不満なんてないはず。

夫婦仲も良い方だと思うし、とりたてて言わないけど愛してるのはわかってくれてるはず。まさか歳を取ってから妻が出ていくなんて考えたこともない、定年になったら少しは料理なども手伝うつもりはあるし、老いて自分ひとりになるなんて考えたこともない、、、

 

。。。ってだいたいの夫は思っています、妻に熟年離婚を言い渡されるその時まで。

知人Aさんの夫がある日おもしろ噂話を妻にした。年上の釣り仲間が最近熟年離婚したらしい、こんな年になってから一人ぼっちってきついねえ、何十年も一生懸命働いてきたってのに年金と退職金を持って行かれてかわいそうに〜ハハハ、と。

まるで100%他人事、自分もそうなるかもとは思わないのかしら?と、Aさんは私に言いました。何年も前から夫婦について悩み、夫に隠れてカウンセリングを受けてついに熟年離婚を決意したタイミングだったそうです。

 

コミュニケーションの問題、モラハラと妻が感じる部分はどういった点にあるのでしょう?Aさんのような友達の話の中で、妻がつらいと感じる夫さん側の言動にいくつか共通点があります。

・どなりつけたりすぐ感情的になって議論ができない

・家族の大事な問題に直面したときに仕事が忙しいと逃げる

・外では気を遣って言いたいことが言えない

・友達がおらず仕事以外はあまり外出しない

・妻の不在や単独行動を嫌がる

・妻が居る時は家事はしない

・少しのことで不機嫌や不安になりやすい、地雷が多い

・不安が妻に対する攻撃となって表れやすい

・成育期に母親との関係がこじれている   …ざっくりいうとそんな感じ。

 

妻側の解釈としては、とにかく会話にならないことが多くよくどなりつける、家事育児実家のケアを丸投げの割にはできてないことだけ指摘されおまえに任せたのにと文句を言われる、ちょっとした感謝の言葉もなく当たり前だと思われていて自分の存在価値に疑問を持つようになる。

すぐ不機嫌になる、どなる、というキーワードは実際よく聞きます。不機嫌ハラスメントというワードを一度検索してみてください、夫とのコミュニケーションで妻はかなり夫のご機嫌を取ることに苦労しています。言葉遣い・声音・タイミングなど、夫の地雷を踏まないように物事が穏便に進むように思春期の子供が傷つかないように、毎日毎日夫の顔色を見ながら生活をしている。

 

驚くことに、子供はこのような夫婦関係をしっかり見極めています。子供は母親に対する父親の高圧的な態度や、母親が緊張して言葉を選んでいる空気感をちゃんと理解しているのです。

自分が社会人になったらママの好きに生きてほしい幸せでいることが一番だと、父親のいないところで母親を慰めている。僕らのパパとママであることには変わりはないから、僕らはこれからも2人と連絡を取り合える、だからパパとママは関係を解消しても僕らは平気、僕らが自立して家を出た後ママがもし幸せじゃないならそのほうがつらい、と。

まだ中学生の子供が言うのです。中学生の子供ですらそこまで達観してしまう状況がすでに長年つづいているということです。なのに夫だけが気づいていない。

 

妻は子供に対して母親の役割を一生懸命演じているわけですが、夫に対しても母親のような優しく寛大ですべてを受け止める役を演じる人はいます。男性に対して従順な性格や愛情が深い女性、男性を立てる女性ほどそうなります。

毎日のことなら穏便に済ませたい気持ちが働きます、自分がゴメンねと言えば、黙って引き受ければ、それで丸く収まるならそうしようと思う気持ちが働きます。争うよりニコニコして暮らしたい、夫も仕事で疲れているのだから、強く見えるけど気疲れしやすいタイプだからと、ささいなことで自分の意見を引っ込めたり折れたりしています。

それが何十年も続けば疲れが溜まり、それらを一掃する夫からの感謝の言葉もなく、負担や我慢だけが蓄積してただ全てが当たり前のように過ぎ去ることに疑問を持つ。

子供が大きくなって時間ができて、更年期症状も始まって心身の不調もあり、ふと自分の人生なんだったんだと振り返った時に、夫が定年になったあと家にずっといて、24時間不機嫌に気を遣ったりガミガミ言われたりしながら日に3度の食事を用意し続ける未来について想像する。

そこで絶望するわけです、定年後の20年をこのまま生きることに。

自分は妻の役割を演じてきたけれど夫は夫の役をちゃんとしてくれたか?お金は稼いできてくれたけど贅沢な生活レベルというほどじゃない、子供のように世話をさせたり気を遣わせたりするだけで、さまざまな乗り越えるべき問題が発生して夫婦で力を合わせたい時に夫の役割を果たさなかったじゃないか、夫は夫の役割を果たしてないのに自分は妻としてこれからも夫の機嫌をとり食事の支度をして義母の介護もさせられる。

これが当たり前のように死ぬまで続く、私の人生って一体なんなの?

 

熟年離婚を考える妻は夫のことを完全に嫌いなったわけではなく、できれば夫とうまくやっていきたいと願っていることも多い。

今日の楽しかったことを夕食の時に話してくれるなら、更年期症状で体が不調の時に寝てなよ僕が冷凍の焼き飯でも作るからと言ってくれるなら、次からおふくろの電話は俺が対応すると言ってくれるなら、きみのおかげで子供2人がいい子に育ったよお疲れ様と言ってくれるなら、子供がいなくなったしどこか行きたいところはあるかい?と聞いてくれるなら、いつもすまんねありがとうと言ってくれるなら、

妻はいつだって夫と一緒にいられるように模索してきた。何度も気持ちを伝えたし話し合おうとしてきた。チャンスも与えたし許しもした。でも何十年も改善しなかった、何十年も辛い思いをかかえ、これからの何十年も同じように感じて生きたくないと思うに至った。

 

とても根が深いのです。

愛とか金とか単純な話ではなくて、いわば自分の余命を天秤にかけるほど深刻な状況に追い込まれて熟年離婚を選んでいるのだと私は考えます。

 

ーーー以下余白

妻の役割って意外と負担が大きい。

家事や介護という肉体的な負担もありますが、それにまつわる精神的な負担が大きい。男が外で働くのも大変ですが、女が内で妻(嫁)を演じるのも同じく大変なのです。男は家でリラックスできますよね?でも女は外で働いて帰っても妻・嫁・母の役割は24時間稼働です。ごめん今日は疲れた寝るわと夫と子供を置いて寝室に行く妻はいないでしょう。

そんなに苦労させてるつもりはないと思いますか?

でも妻は夫の愚痴を聞いてくれるでしょう?なだめて安心させてくれるでしょう?つまらない話でも笑ってくれるでしょう?おいしいねー楽しいねーと明るい振りをしてくれるでしょう?疲れている時やイラついている時はそっと1人にしておいてくれるでしょう?その日の夕飯は好物を作ってくれるでしょう?面倒臭い実家の親の電話も対応してくれるでしょう?私がもっと子供を気にかけて話してみると引き受けてくれるでしょう?お仕事お疲れさまパパのおかげよとちゃんと言葉にして感謝の気持ちを言ってくれるでしょう?

それらは妻の役割として意識的に果たしていることです。できる人ほどナチュラルに見えますが、当たり前に自然に発生していることではなくて全て個人の努力です。その努力に対して夫から感謝がないということは、自分の努力には価値がないと言われているのも同然です。少なからず苦しい思いをしている上に価値などないと言われたら未来に向けてさらに努力を続けようと思えないのは当然だと思いませんか?

 

たぶん、ありがとうというだけで離婚は回避できた、いつだって回避できたはずです。