東京エスメラルダ

オトナによるオトナだましぃな日記 @田舎

モラハラ夫を扱う妻の手腕、その絶妙なパワーバランスの話。

モラハラ気質のパートナーで悩んでる女性って割と多いのかなと思います。

もちろんモラハラする側に問題があるのですが、妻側の対応で相手を助長させずに軌道修正ができるという場合もある、そんな友人の話をしたいと思います。

 

かなり亭主関白のモラハラ夫をもつ友人Sさんがいます。

どの程度のモラハラかというと、とにかく生活全般へのダメ出しが多い。夫は家事も育児も一切しないのに料理や掃除や子供の教育方針にケチをつけてはお前が不出来だからだとSさんを責める。

夫はかなりの資産家なのに金銭的にも厳しく、家計をチェックしては細かい支出にも文句つけたり子供に必要な出費でも出し渋り、これもおまえの経済観念のなさだと言って気に入らない出費は専業主婦のSさんに負担させようとする。

Sさんが少しでも口答えをすると夫は会話をしなくなったり、客の前でもおかまいなしに妻をこき下ろしたり、自分に従わない妻を罰するかの如く浮気に走る。

 

別れたほうが良くない?と言いたくなるような悪い男だと思いますが、この夫、友人や知人には驚くほど節度を持った対応ができるんです。むしろ人当たりのいい人気者。妻にだけ厳しいという二面性がサイコパスっぽさを感じさせる夫だなと私は思っています。

 

そんな夫に対してSさんはどのようにバランスをとっているのでしょうか?

Sさんの夫はモラハラだけれども経済力があって暴力は絶対ないそうです(とはいえ日常的に上記のような態度を取られていれば、妻にとっては精神的にきつい夫婦関係ですよね)。

 

Sさんは、夫のモラハラな言動は”耐えられる種類の苦労”だと言います。

毎日のいばり散らし、他人の前での貶め、日常的に尊重されない自分、それらはSさんにとっては受け入れ可能な苦労なのだそうです。人はみんな何らかの苦労はあり、耐えられる苦労も人それぞれちがいますが、亭主関白夫の言動ならSさん的には耐える自信があるのだそうです。

好きだから言えない、気が弱くて夫が怖いから闇雲に耐えているわけではない。

本当かな?私なら病んじゃうレベルだと思うけど。Sさんの言葉を半信半疑で聞いていましたが、彼女がただのかわいそうなモラハラサレ妻ではなく、絶妙に夫婦のパワーバランスをしっかり取っているんだなとわかったエピソードがあります。

 

ある日夫が事業を拡大したいと言い出しました。Sさんとしては今のままでも十分豊かで子供もまだ小さいのでリスクは避けてほしいと考えていました。しかしビジネスチャンスに賭けたいという夫に反対はしませんでした。夫がいちいちSさんに相談やお伺いを立てるはずもなく、決定事項として言い渡されたに過ぎないことをわかっていたからです。

ただSさんは「今の生活レベルは下げないでください、2年経っても収益が上がらないようなら手を引くと約束してください」ときっぱりと言い渡したそうです。

 

夫に気を使って普段は反論しないSさんがどうして今回は強く意見を言えたのでしょう?それは、Sさんが受け入れられる苦労に”貧乏”は含まれていないからです。

 

自分と子供の生活を守れないような苦労は絶対に受け入れない、とSさんは固く決めていました。彼女は何も考えずただ夫に従っているのではなく、自分と子供の生活を守るための苦労とそうでないものを冷静に分けて選んでいるのです。

夫の収入が下がり、経済的に豊かな暮らしができなくなり、子供に良い環境を与えられなくなることだけは絶対に譲れないラインだといいます。他の何よりも経済的に貧しいことについての苦労はしたくない、そんなことに耐える努力もできないと。

貧乏暮らしではあんな夫に我慢して毎日過ごすこと自体バカらしくなってすぐ別れたくなるだろうと自分自身でもわかっているの、モラハラもケチも浮気も受け入れるけど貧乏だけはNG!とSさんがどうしても譲れない部分はちゃんと主張しています。

 

ご主人様とメイドみたいな力関係のように傍目には見えていましたが、Sさんはここぞというときに夫へ意見し従わせていました。Sさんが本気で夫に釘を刺すことで、普段は亭主関白のモラハラ夫でも経済的な破綻のリスクとそれに伴う家庭崩壊は回避できたのです。

モラハラ夫が簡単に聞き入れるわけありませんが、普段Sさんが従順に従うからこそ、こういった大事な場面での本気の主張が通るというか、伝え方や物の言い方やタイミングなどはSさんの長年の苦労の積み重ねの賜物であろうと思います。

このSさんの絶妙なパワーバランス力によって結果的に夫は家庭を維持する立場であることを思い出し事業計画に折り合いをつけるでしょうし、子どもも恵まれた環境で教育を受けることができ家庭は守られているんでしょうね。

自分のことも、夫のことも、結婚とはどういうことかも、よくよく物事をよくわかっている人だなぁと思いました。それまで亭主関白に耐える妻というイメージでSさんを見ていましたが、賢い女性だと思うようになりました。

長い結婚生活では甘い恋の時期はいつかは終わりが来る。とはいえ子どももできたし相手を変えるのも難しい。我慢かお別れかの2択ではなく、Sさんのように継続可能な戦術を考えて生き抜く賢さと強さを備えたいと思います。