東京エスメラルダ

オトナによるオトナだましぃな日記 @田舎

女性でも楽しめるネトフリドラマ「全裸監督」。

まず「まっちゃんねる」のイケメンタルを観て免疫を。

先日TVer松本人志さんの「まっちゃんねる」というバラエティ番組を見ました。

アマプラで松本さん企画の「ドキュメンタル」というお笑い芸人さんたちが集まって笑ったら負け形式の勝ち抜きゲーム番組があるのですが、それのイケメンver.のような感じのTV番組に山田孝之さん(や高橋克典さんやジャイアン声優の木村昴さんなど)が出演されていました。

普段から醸し出されている山田さんの雰囲気で面白くないわけがない!と思って見ていると、そこで全裸監督の扮装をされてひとくだりおやりになりました。そうだ全裸監督のシーズン2が始まるんだなと、まだシリーズ1を観ていなかったことに気付くのでございます。

(イケメンタル、他の出演者含めて全編めちゃくちゃおもしろいのでこちらもぜひご覧になってみてください)

幼き日の村西とおるさんと黒木香さんの記憶。

全裸監督。村西とおるさん・・・・興味あるけど観るのが怖いような(笑)

ネトフリも加入しているので前から気にはなっていたのですが、村西さんのことは小さい頃に誰かがものまねしていた程度のかすか〜な記憶しかありません。年代的に小さかったし、AV監督さんなのでそもそも幼き少女が興味を持ったり理解できるジャンルの人ではないですし。

そして黒木香さん。ふさふさした脇毛を見せながらニコニコと上品に話すお姉さん(内容は卑猥なこと)。ふとフラッシュバックするのが、黒木香さんと火垂るの墓直木賞を受賞された作家の野坂昭如さんのバラエティ番組の共演シーン。黒木さんがチャイナドレスから脚を大胆に出して野坂先生の膝へ乗せ脇毛ポーズをとっている、野坂先生がその脚を両手で撫でまわす。幼き日の私の記憶にショックのように刻まれたシーンは、素晴らしいねぇなどと言って足を撫で回していた野坂先生の手が太ももからチャイナドレスのスリットの奧まで入り込み、最後にチョチョイチョイっと素早く動いた瞬間。これTVで映していいの?本当はそんなとこ触っちゃダメなんじゃないの?と、子供ながらに妙な心配をしたのを覚えています。

そのようにうっすら残っている印象が、いやらしい、下品ぽい、なんかわからんが不穏なものを呼び覚ます感じでした。「全裸監督」も当然AV関係の話でしょうし、もし撮影シーンがエログロで女性が汚らしく描かれていたら絶対嫌な気持ちになるしなぁ・・・と触手が動かず観ていませんでした。

しかし西原理恵子さんが高須克弥先生との日常を描いているマンガ「ダーリンは〇〇歳」の中で割と最近の村西さんのお話があるのですが、その破天荒なキャラは陰鬱とはかけ離れたユーモアがあったなと思い出し、そして「まっちゃんねる」での山田孝之さんの全裸監督の演技にも、この作品にはエログロとは違う良さがあるのかもしれないという期待を抱かせるものがあったので試聴することにしました。

 

観るしかないキャスト

とにかく山田孝之さんとリリー・フランキーさんが出ていて面白くないわけがないと思っています。つまらないものなど引き受けるはずがないと。妖精もクズも演れるお二人が揃っているのですから。

ピックアップが私の好みになるのですが、

脇役が濃い味、板尾創路さん、國村隼さん、余貴美子さん、室井滋さん。

若手もニヤリ、伊藤沙莉さん、柄本時生さん、満島真之介さんなど。

どこを切り取っても濃い人しか出てこない。シーズン1でこんなに豪華キャストでシーズン2どうするつもりなんだろうかと思ってしまうほどです。桂文枝師匠とか出ないのかな。

 

なぜ女性でも楽しめるのか

もちろん大人だけで観てくださいね(笑)日常であったりAVの撮影シーンであったり、全編まんべんなくまぐわっているシーンが出てきますので、家族の有無とか試聴する時間帯とか音量とかには配慮が必要かもしれません。(性行為シーンが絶対的に苦手な人には向かないかも)

女性でも観やすいと感じたのは、セックスシーンが人間の営みとして淡々と描かれているからかなと思いました。普通の映画やドラマやAVですと、視聴者を興奮させる目的だったり、恋愛の到達点としてドラマチックに見せる目的だったり、女優さんを美しく見せる目的など、いろんな目的で演出されていますよね。

このドラマの中のセックスシーンは、純粋な日常の行為やエロをビジネスにしている人たちのあっけらかんとした日常の、単なる営みのひとつって感じの描写なんです。女優さんのヌードや喘いでる声すら不思議といやらしさがないんですよね。

もちろん男性が見ればそれなりに刺激があるのかもしれませんが、私的にはゲーム・オブ・スローンズよりいやらしくないし興奮しないと思います(GOTの演出を褒めているわけではない)。むしろこの題材でよくもここまで清々しいほど爽やかに描いたなと思いました。

この作品は単に女のおっぱいがたくさん観られればいいという目的のソフトポルノではなくて(そのつもりで見たらたぶん肩透かし)、村西さんという男の数奇な人生をユーモア目線で描いたヒューマンドラマです。

村西さんの独特なセールスマントークや人当たり(の芸風)やバブルという特異なお祭り時代が、実際は殺伐とした現実をほどよくオブラートに包んで面白く見せているのかもしれません。とはいえ相当なやらかし素材なのに、演出や演技や編集の技でものすごく心温まるドラマになっているのだとしたら、それはそれでエンタメの力ってすごいと思いました。

黒木香さんのシーンも印象的で、脇毛を見せてお上品言葉でナチュラルにエロワードを滑り込ませる記憶の中のお姉さん、AV女優という殻の中身は自己を解放し自分らしく生きる一人の女性なのだと捉えることができる作品でした。

バブルの狂乱や高度成長期の昭和という時代のユルさも懐かしい。面白い作品です。

ーーー以上です。

 

以下余談。

山田孝之さんって。

初めての印象は妻夫木聡さん主演の映画ドラゴンヘッドにて。山田さんは悪役なんですけど、あのキラッキラの妻夫木くんを差し置いてどちらが主人公かわからないくらいの怪演をなさっていたと記憶しています。

たいへんな美青年でその後も爽やかなイメージでアイドルっぽく売り出している感じだったのですが、山田さんからは不思議とアイドルオーラを感じませんでした。売り出し中のイケメン若手俳優にしてはすごく老成されてる目つきをされてたんですよねー。CMで焼きそばイェーとかポップに言ってるにも関わらず(笑)精神的に大人だったのか、できあがってる感じがしていました。あとで知ったのですが、恋人との間にお子さんがいらっしゃったんですよね。若くして背負ってるものがあったのかーとなんか納得したのを覚えています。

実物を街でお見かけしたことがあって。目の前1mくらいのところをゆっくりと通り過ぎただけなんですけれど。もう想像の10倍くらい美形でした。ちょうど目の前で立ち止まってスタッフらしき人と話をしたりされてたので、間近でじっくり観察する時間を神から与えられたのですが、芸能人というのはこんなに顔が整っているものなのかと造形の美しさに驚きましたね。特段ファンというわけではなかったのですが、その完璧な鼻筋、びっしりと生えたまつげ、一つ一つのパーツの形と配置がとんでもなく美しい。ルックスが商売になる人のもの凄さを実感しました。

あとどうしても書きたいのが色気。美しさとはまた別に立ちのぼる色気がありました。圧倒的な色気を放っておられます。本当はどんな人かはどうでもいい、ただただこの人の佇まいというものには尋常じゃないパワーがあります。芸能人ってすごい、TVカメラやお客さんの前に立っていない、本気を出していないときですらこうなのですから。売れる人って悪魔のような魅力があるのだなと怖くなるほどです。もしこの人に部屋に誘われたらファンでもないのに断れないだろうな・・・と勝手に思いました(笑)

ちゅらさんウォーターボーイズ、セカ中、電車男、ホルモー、ヨシヒコ、実写版ジョジョなどメジャーな作品はひととおり観ていますが、青年漫画が原作の暴力的なものやアングラな世界観のものは苦手なので、もしかしたら山田さんの良さがすごく出ている作品を見逃してるかもしれません。私はファンと呼べるほどではないので山田さんの真骨頂がどの作品であるかは語れませんが、いいものを見たなと真っ先に思い浮かぶのが映画「凶悪」です。

山田さん、リリーさん、ピエール瀧さんの三つ巴の演技が素晴らしい。役的には瀧さん・リリーさん演じる悪役の方が役者としては良い役というか、アクも強いしじっくり描かれているし印象に残りがちです(それはもう胃もたれするくらいの悪人です)。実際にお二人は多くの賞を受賞なさりました。正義の人役の山田さんの役柄自体が映画では抑えめに描かれているので、実際センセーショナルな部分は瀧さんの役が中心だったのだろうなと思います。アラフォーで脂の乗っている今の山田さんなら、正義の記者よりもこの極悪人を演るにふさわしいと思いますし、瀧さんとは違った狂気を見せてくれると思います。

ちょっと話がズレましたが「凶悪」の山田さんの抑えられてきた緊迫感が解き放たれる瞬間や、自分の中でなにかが崩壊した瞬間の演技は、それまでに観た極悪人たちの数々のショッキングな所業の残像でいっぱいだった脳内を一瞬でかき消し、凌駕し、我々観客の意識を善の方へ一気に引き寄せる名演だと思います。

 

そんな山田孝之さんが体を張って(腰を振って)AV監督の人生を演じる「全裸監督」、期待して観てみてください!